ドッグトレーナーとは?
「ドッグトレーナー」という言葉を知っていますか?
ドッグトレーナーは別名・犬訓練士ともいい、犬の各種訓練やしつけを行なう職業を指します。
一般にはまだ耳馴染みのないドッグトレーナーという職業ですが、いったいどんな仕事で就職先などはどんなところがあるのでしょうか?
ここでは、愛犬家にも大人気のドッグトレーナーについて詳しく紹介していきます。
ドッグトレーナーとは?
ドッグトレーナー(Dog Trainer)とは犬の調教や訓練、しつけなどを行なう仕事です。
このドッグトレーナーにはさまざまな種類があり、警察犬や麻薬探知犬、災害救助犬などの訓練を行なう仕事や、盲導犬、ペットのしつけを行なう仕事まで広範囲にわたった仕事が含まれています。
その仕事内容によって勉強方法や求人先も異なってきますが、一般的にはそのどれもを「ドッグトレーナー」と総称しているわけです。
ドッグトレーナーの資格は?
ドッグトレーナーになるには国家資格のような公的な資格は必要ありません。
ただし、警察犬のトレーナーになるには日本警察犬協会の認定資格が必要であったり、盲導犬のトレーナーになるためには盲導犬協会に所属するなどの条件があります。
また、家庭犬のドッグトレーナーになるにも、まったくの未経験者では求人に応募しても採用される可能性は低いので一定レベルの知識とスキルを有している必要があるといえるでしょう。
ドッグトレーナーの就職先は?
ドッグトレーナーの活躍の場は、その仕事内容によって多岐にわたっています。
警察犬訓練士の場合でも、警察官になって働く直轄犬訓練士と民間で訓練を行なう民間犬訓練士の2種類があります。
盲導犬訓練士の場合は、全国に10団体ある盲導犬育成団体のうちのいずれかの職員となれば働くことができます。
一方、家庭犬のドッグトレーナーは、犬の訓練を請け負っている企業などが主な就職先です。
もしドッグトレーニングの技能や経験を得て顧客を獲得できれば、将来的に起業などを行なうことも可能となるでしょう。
ドッグトレーナーになるには?
ドッグトレーナーになるための特別な資格はありません。
ただし、警察犬訓練士や盲導犬訓練士といった職業に就くためには、一定レベルの勉強や認定などが必要となります。
家庭犬のしつけを行なうドッグトレーナーは、犬の訓練を請け負う企業に就職することが必要となってきます。
この家庭犬のドッグトレーナーになるには、養成学校や通信講座などで学ぶのが早道といえるかもしれません。
ドッグトレーニングの歴史とはじまり
我が国ではまだまだ浸透していない感のある「ドッグトレーナー」。
もしかすると、初めてその名称を耳にしたという人もいるかもしれません。
ここでは犬の訓練とドッグトレーニングの歴史について詳しく紹介していきましょう。
犬訓練士の歴史
ドッグトレーナーは別名・犬訓練士とも呼ばれる職業です。
もともと犬の訓練の歴史は、警察犬や盲導犬、災害救助犬など人間の役に立つ作業犬のトレーニングからスタートしました。
つまり、さまざまな動物のなかでも人間に親しみやすく、かつ頭が良くて従順な犬の特性や能力を各種作業に役立てようと図ったのがドッグトレーニングの始まりといえるでしょう。
牧羊犬の訓練の歴史
犬の訓練のなかでも歴史が古いのが、牧場で放牧している羊の群れの見張りや誘導を行なう「牧羊犬」のトレーニングです。
牧羊犬というとヨーロッパが起源というイメージがありますが、実はイラン周辺地域だと推定されています。
その起源は紀元前4300年頃まで遡れるといわれ、エジプトやトルキスタンの古代遺跡からは牧羊犬と思われる犬の骨や飼育されていた羊の骨がともに発見されているそうです。
当時の牧畜者たちは羊がオオカミに襲われたり、羊の群れが散らばって迷子になるのを防ぐために犬を訓練して牧羊犬として活用していました。
言い換えると、その頃の牧畜者たちは牧羊犬としての犬の訓練を行なっていたわけで、これがドッグトレーニングの元祖ということができるでしょう。
警察犬の訓練の歴史
ドッグトレーニングの元祖は牧羊犬ですが、その後、犬は犯罪防止や捜査にも役立つことから警察犬の訓練も開始されるようになりました。
警察犬の訓練の歴史は19世紀末(1896年)にドイツのヒルデスハイム市の警察で開始されたのが始まりとされています。
ヒルデスハイム市はドイツ北部にあり、当地の聖マリア大聖堂は世界遺産に登録されていることでも有名です。
ただし、フランスの門・サン・ミッシェルではすでに15世紀に市民保護のために犬を訓練して使っていたといいますから、こちらのほうが警察犬の起源といえるかもしれません。
軍用犬の訓練の歴史
訓練された犬は牧畜や犯罪予防だけに使われていただけではなく、各国の軍隊でも軍用犬として利用されていました。
軍用犬の歴史は紀元前のアッシリアにまで遡れるといわれ、当地の遺跡の壁には勇士と犬の壁画が残されているそうです。
こうしたドッグトレーニングの歴史を経て、犬の訓練を専門に行なう職業が登場するようになり、現在、犬訓練に関する各分野で活躍しているのがドッグトレーナーです。
ドッグトレーナーになるメリット
ドッグトレーナーは家庭犬の訓練やしつけを行なう職業です。
犬を愛する人に人気があるドッグトレーナーですが、どのようなメリットがある仕事なのでしょうか?
犬と接することができる
犬が大好きという人にとって、日々犬と接することのできるドッグトレーナーには大きなメリットがあります。
もちろん、犬の訓練やしつけを行なうのはカンタンなことではありません。
また、プロのドッグトレーナーとして働くうえでは、収入面で大きな期待ができない部分もあるため苦労をしている人もいます。
しかし、多くのドッグトレーナーは「お金ではなく自分の好きなことを仕事にできる」という点にメリットを感じているようです。
大好きな犬と接することのできるドッグトレーナーにメリットを見出しているということでしょう。
犬とコミュニケーションができる
ドッグトレーナーになるメリットのひとつが「犬とコミュニケーションができる」という点です。
犬とのコミュニケーションは我が家のペット相手にも可能かもしれませんが、異なる環境で生活する多数の犬と接してコミュニケーションを取ることができるのはドッグトレーナーのメリットといえます。
特に家庭ではしつけが難しかったり、飼い主がしつけに失敗してしまったような犬と心を通わせることができたときの喜びは大きいといえるでしょう。
つまり、ここでいうコミュニケーションとは「心を通わせにくいタイプの犬との心の通じ合い」と言い換えることもできるのです。
仕事としてやりがいを感じられる
世の中には多数の仕事がありますが、なかでもドッグトレーナーはやりがいの感じられる職業だといわれています。
ドッグトレーナーは家庭犬の訓練やしつけを行ないます。
単純に考えると「ペットのしつけ」となるわけで、どんなやりがいがあるのかと考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、ペットは家族の一員と考えると、家庭の平和や居心地の良さ、家族の絆などを強める一環としてドッグトレーニングがあるといえるのです。
さらに、ペットの存在によって家族が癒されたり、子供たちの教育的な見地からも役立つというメリットもあります。
ドッグトレーナーは犬と触れ合える魅力ある仕事というだけでなく、「人の役に立つやりがいのある仕事」ともいえるでしょう。
ほかにもドッグトレーナーには「独立して開業(企業)できる」、「犬関連のショップのオーナーになれる」、「他の仕事と兼業できる」、「主婦の副業としても可能」などのメリットがあります。
特に最近では独立や兼業、女性の副業としてもドッグトレーナーは人気になっているのです。
ドッグトレーナーの給料と年収
「犬が好きでドッグトレーナーになりたい」という志はあっても、プロとして生活していくためには給料や年収も無視することはできません。
ドッグトレーナーの給料や年収はいったいどのくらいなのでしょうか?
一般のドッグトレーナーの給料・年収
ドッグトレーナーには各種の就職先があります。
その代表的なものがドッグトレーニングを行なっている企業(会社)への就職です。
主として家庭犬のしつけを行なう仕事ですが、社員や契約社員、パート、アルバイトなどの求人があります。
企業や会社に所属したドッグトレーナーの給料や年収には地域差や企業経営者の方針によって違いがあるものの、給料(月収)では約18~25万円程度、年収では約300~400万円程度というのが標準的です。
一般的な会社員の平均給料は月収で約26万円程度、年収は約420万円程度といわれていますので、それよりもやや低めの金額といえるかもしれません。
また、地域や経営者の方針によっては給料が約12~16万円程度、年収が約200~250万円程度というところもあります。
ただし、ドッグトレーナーとしての経験を積めば独立も可能な職業であり、かつ兼業することもできますのでそういった可能性を模索してみてもいいでしょう。
警察犬訓練士の給料・年収
警察犬のトレーニングを行なう警察犬訓練士には2つの種類があります。
1つは警察官採用試験に合格して警察に就職し、鑑識課員として働くという方法です。
よくテレビドラマなどで警察犬とともに登場して犯罪捜査を行なっているのが警察犬訓練士で、当然のことながら警察官(公務員)ということになります。
公務員である警察官の平均給料は約50万円程度、平均年収は約800万円程度です。
もちろんこれは平均的な金額であり、初任給からこれだけの収入を得られるというわけではありません。
一方、民間の警察犬訓練士の収入はどうかいうと、個人の能力差や就業形態によってかなりの差があるといえます。
民間の警察犬訓練士というのは嘱託で警察犬の訓練を行なう職業で、仕事の依頼が多ければ収入も高くなり逆であれば低くなります。
その一例を挙げると、週4回の就業で給料(月額)が約6~10万円程度となっています。
盲導犬訓練士の給料・年収
盲導犬の訓練を行なう盲導犬訓練士の給料・年収を見てみると、給料で約12~18万円程度、年収で約200~300万円程度というのが標準的です。
一般の会社員と比べて低めと感じるかもしれませんが、盲導犬の訓練費用は寄付金に頼る部分が多いため高い収入は望めないという傾向があるのです。
ドッグトレーナーにはどんな人がなるの?
ドッグトレーナーは、単に「犬が好き」という人だけがなるわけではありません。
もちろんドッグトレーナーになる人の多くは犬好きですが、加えて何らかの要素があることもまた事実なのです。
ここでは、どんな人がドッグトレーナーになるのかについて詳しく紹介します。
犬に関係した仕事がしたい人
犬好きな人で愛犬を飼育している人は多いはずです。
しかし、そこからさらに一歩踏み込んで、実際に「犬に関係した仕事に就いた」という人はその何割かに過ぎません。
ドッグトレーナーの多くは犬好きから発展して、現実に犬に関係した仕事に就いているという人です。
愛犬家と接する仕事がしたい人
ドッグトレーナーの仕事の特徴は、犬と触れ合うことができるというだけではありません。
同じく犬を愛する飼い主や家族の人と接することができるというのもドッグトレーナーの特徴のひとつです。
愛犬家やその家族とドッグトレーニングを通して知り合うことができ、犬に関する知識や情報をレクチャーしたり、犬の話がしてみたいという人がドッグトレーナーになっています。
コツコツ教えるのが好きな人
ドッグトレーナーのほとんどは「何かをコツコツ教えるのが好き」という人です。
その対象が犬というのは教え好きに加えて犬好きという特徴があるためといえるでしょう。
ほとんどしつけのできていない犬、しつけはしたものの結果が出ていない犬を忍耐強く教えていくというのは根気の必要な仕事です。
そんな仕事であるドッグトレーナーになる人は、コツコツ教えて結果を出すのを見るのが喜びな人といえるかもしれません。
犬関連の起業をしたい人
愛犬に関係する仕事としては、獣医や動物の看護師、トリマー、ペットショップ店員、犬服のデザイナーなどがあります。
ドッグトレーナーは独立しての起業が可能なので、自ら会社を興そうという人にも適しています。
また、ドッグトレーニングの起業だけでなく、ペットショップ開業を目指している人でドッグトレーナーになるという人もいるようです。
愛犬のしつけをしたい人
ドッグトレーナーといってもその仕事に就きたいという人ばかりではありません。
他に職業を持っている犬好き人で、我が家の愛犬をしつけたいという理由でドッグトレーナーになる人もいます。
ドッグトレーニングは一般家庭で行なっているような「お手」や「待て」を教えるというのとはまったく異なるレベルの訓練です。
本格的なドッグトレーニングを学ぶことにより、これまで以上に愛犬を理解できたという人も多いのです。
ドッグトレーナーに適した性格
犬を愛する人にとってドッグトレーナーは憧れの職業だといわれています。
その反面、ドッグトレーナーになるには適性があるという意見もあり、「自分はトレーナーに向いているのか否か」と迷ってしまう人もいるようです。
ここではドッグトレーナーに適した性格とはどんなものなのかについて説明していきます。
心から犬を愛している
ドッグトレーナーになるのに「愛犬家であるか否か」は大きな問題です。
もちろん、特別に犬が好きでなくとも職業としてのドッグトレーナーになることはできます。
しかし、ドッグトレーナーに犬への愛がなければ良いドッグトレーナーになることはできません。
ドッグトレーナーになるには、まずは「犬に対する愛があること」が条件なのです。
人とのコミュニケーションが好き
犬を訓練するドッグトレーナーになるのに、ナゼ「人間とのコミュニケーション」が必要となるか分からないという人もいるかもしれません。
ところが、実はドッグトレーナーに必要な資質のひとつが人間(犬の飼い主や家族)とのコミュニケーションなのです。
よく「犬は飼い主に似る」といいますが、犬のしつけをするにはまず飼い主からと言い換えることもできるでしょう。
忍耐強い性格である
犬に限らず何かを教育するには「強い忍耐心」が不可欠です。
相手が人間であろうと犬であろうと、トレーニングをする側には忍耐強さが求められます。
ドッグトレーナーは訓練が上手くいかなくとも落ち込んだり怒ったりすることなく、コツコツと忍耐強く教え続けられる能力が必要なのです。
さらにいえば、忍耐強さに加えて「マメ」であれば言うことがありません。
明るく元気な性格である
ドッグトレーナーは犬の訓練をするだけでなく、その飼い主や家族に対してもトレーニングを行なう仕事です。
我が家に犬がいるということはハッピーなことであり、犬が家族の一員であることで家族みんなが楽しく暮せるということは言うまでもないことでしょう。
その犬を飼うことの楽しさやその意義を伝えるのに、暗くて元気のないドッグトレーナーでは説得力がありません。
常に元気いっぱいで陽気である必要はないものの、ポジティブな性格であることは必要条件といえるでしょう。
その他のドッグトレーナーに適した性格としては、「責任感がある」「物事を途中で投げ出さない」「やる気がある」「あまり細か過ぎない」などが挙げられます。
ドッグトレーナーが几帳面過ぎても訓練は上手くいきませんが、かといって適当過ぎては訓練の成果を上げることはできません。
また、一度始めたことを途中で止めてしまうようでは意味がないことは周知のとおりです。