犬関連のドッグトレーナーの職場
ドッグトレーナーは犬のしつけや訓練を行なう仕事として人気があります。
犬好き・動物好きの人なら「ドッグトレーナーを職業にしたい」と考えている人も多いかもしれません。
では、ドッグトレーナーが働ける職場にはどんなところがあるのでしょうか?
ここでは主なドッグトレーナーの職場について紹介していきます。
犬関連のドッグトレーナーの職場とは?
ドッグトレーナーはその名のとおり「犬の訓練を行なう職業」です。
そこで、ドッグトレーナーとしての犬の訓練やしつけなどの知識と技術が活かせる職場としては次のようなものが挙げられます。
家庭犬の訓練所
一般の家庭などで飼われている犬(ペット)の訓練やしつけを行なう企業や事業所です。
こうした訓練所は警察犬などの訓練所を兼ねている場合もあり、犬訓練を全般的に行なっているところも多いようです。
さらにドッグショーなどに出場したいという犬のトレーニングも行なっている事業所もあり、ひと口に「犬の訓練所」といっても幅広いものといえるでしょう。
家庭犬のしつけ教室
犬のしつけ教室は訓練所と多少重なる部分もあるドッグトレーナーの職場です。
ただし、犬訓練所がトレーニングを中心としていたり、警察犬訓練も並行しておこなっているなど少し硬いイメージがあるのに対し、犬のしつけ教室はペットのトレーニングが中心という柔らかいイメージがあるのが特徴です。
また、しつけ教室やしつけスクールといった名称を用いているところも多く、飼い主と愛犬がともにトレーニングを受けられるというケースも見られます。
ペットショップ
ペットショップの仕事というと販売や管理というイメージがあります。
しかし、ペットショップによっては顧客向けにペットのしつけ教室やペットマナーのアドバイスなどを行なっているところがあります。
ドッグトレーナーはそうしたペットショップからの依頼を受けたり、嘱託として仕事を行なうケースもあります。
ペットシッター
人間の赤ちゃんを預かる仕事をベビーシッターといいますが、ペットの世界にもペットシッターという似たような職業があります。
犬に詳しいドッグトレーナーは預かったペットのしつけなどもできるというメリットがあるためペットシッターにも適しているといえるでしょう。
その他の職場
ドッグトレーナーの職場のひとつがペットホテルです。
ペットホテルもペットショップと同様、犬の扱いに長けたドッグトレーナーが活躍できる職場といえるでしょう。
もうひとつ、ドッグトレーナーが活躍可能な職場としてペット関連のレジャー施設があります。
ここではペットのしつけというよりも訓練を行なったり世話をするのが中心となります。
ドッグトレーナーが就く動物関連の職場
ドッグトレーナーの職場は犬の訓練所やしつけ教室など犬関連のものばかりではありません。
犬を含めた動物を広く取扱う職場でもドッグトレーナーの活躍の機会はあります。
もしドッグトレーナーの仕事を探したい場合も、犬関連に限定するのではなく広範囲にわたる視野で選んでみてはどうでしょうか。
次に、ドッグトレーナーの動物関連の職場について紹介しましょう。
動物病院
動物病院は動物関連の病気の治療や看護を行なう仕事をメインに行なっています。
しかし、動物病院では取扱う件数の多い犬の治療や看護に加え、飼い主からの犬のしつけ相談や問題行動の解決法、犬のしつけ教室、ドッグスクールなどを併行して行なっているケースも少なくありません。
これはすべての動物病院にある例ではありませんが、なかには定期的に犬のトレーニング教室やしつけ教室、出張トレーニング、セミナーなどを開催しているところもあるのです。
そうした動物病院では複数の専任ドッグトレーナーが就業しています。
特に問題行動のある犬に関しては、ドッグトレーナーによる訓練が奏功しているという例が多数ありますので必要とされる職場といえるでしょう。
ペットテーマパーク
全国にはたくさんの動物と触れ合えるペットテーマパークや動物テーマ施設などがあります。
こうしたペットテーマパークや動物テーマ施設では、犬とお客様の触れ合いが可能であったり、ドッグショーを見せるというケースも少なくありません。
パークや施設で取扱っている動物は事業所によって異なりますが、犬を扱うところであればドッグトレーナーの活躍の機会があるでしょう。
また、各地には犬を専門としたテーマパークや施設もあり、ドッグトレーナーが多数就業しています。
ただし、こうした就業先では仕事内容はドッグトレーニングのみというわけにはいかず、パーク内や施設内の作業や雑用、事務系の業務も含まれているかもしれません。
しかし、犬好きに加えて動物も好きなドッグトレーナーなら充実した仕事ができる就業先といえるのではないでしょうか。
ペットカフェ
犬や猫、ウサギなどの愛らしいペットと触れ合える場所がペットカフェです。
このようなペットカフェで犬を扱っているところでは、ドッグトレーナーが活躍している場合も多いようです。
動物とお客様の触れ合いを可能にするのは、しっかりした動物へのトレーニングです。
そうしたトレーニングなしには動物と不特定多数の人間は不可能といっても過言ではなく、ドッグトレーナーの存在は欠かすことができないという一面もあります。
家庭犬のしつけ!ドッグトレーナーの仕事内容
ドッグトレーナーの仕事は、一般的には「犬のしつけをすること」というように単純に捉えられています。
しかし、具体的にどんなことをするのかという点は意外に知られていません。
ここでは家庭犬のドッグトレーナーの主な仕事内容について紹介していきます。
ドッグトレーナーの仕事について
家庭で飼われている犬は主としてペットが多く、なかには番犬的な役割を兼ねている犬もいます。
愛玩犬であれ番犬的な位置付けであれ、何のトレーニングもしつけもしなければ犬は野放しのまま成長してしまいます。
それを「可愛いから」といった理由だけで放置しておくと、いつかは飼い主の手に負えない犬となってしまうでしょう。
ドッグトレーナーは家庭犬に基本的な訓練としつけを施すことで、犬と人間が幸福に共存できるようにお手伝いをしていきます。
ドッグトレーナーの仕事内容とは
ドッグトレーナーの主な仕事は「犬の訓練としつけ」です。
次に、家庭犬のドッグトレーニングの仕事内容について挙げていきましょう。
トレーニング対象の犬の状態を観察
ドッグトレーナーは訓練やトレーニング対象となる犬の現状を観察します。
今、対象となる犬のしつけはどの段階までできているのか、訓練が必要な項目や要素を判断してどんなトレーニングを行なうかを計画します。
飼い主や家族とのミーティング
家庭犬の訓練やしつけはドッグトレーナーが勝手に判断して実施できるものではありません。
対象となる犬の飼い主や家族から聞き取りを行ない、犬の良い点・悪い点・現状での問題点などをリサーチします。
さらに、飼い主や家族が対象となる犬に何を望んでいるのかなどの希望を聞き、話合いを行ないながら必要となるトレーニング内容を決めていきます。
対象となる犬のトレーニング
トレーニング計画が決定したら、実地に犬のトレーニングを開始します。
その内容は対象となる犬によって異なりますが、基本的なマナーを中心に飼い主の希望に添いながら訓練を進めていきます。
すでに基本的な訓練やしつけができている犬なら、さらに一段階上のトレーニングを行なうこともあります。
飼い主へのレクチャー
ドッグトレーナーは常に対象となる犬とともに過ごせるわけではありません。
そこで、犬の飼い主や家族に対してトレーニングやしつけに関するレクチャーを行ない、生活のなかで継続的に犬にしつけを施せるように知識やスキルを提供します。
また、犬の飼い主や家族からの質問などがあれば可能な範囲でアドバイスを行なうこともあります。
ドッグランで働く!ドッグトレーナーの仕事
ドッグトレーナーの人気の職場のひとつがドッグランの仕事です。
ここではドッグトレーナーの就業先として注目されているドッグランの仕事について詳しく紹介していきます。
ドッグランとは?
ドッグラン(dog run)とは、犬を自由に放して遊んだり走ったりさせることのできる専用の施設をいいます。
このドッグランの施設は一般的には野天の広場が多く、いわば犬が自由に過ごすことのできる犬の公園といったものと考えればいいでしょう。
全国には多数のドッグランがあり、そのなかには無料で管理人やドッグトレーナーがいないもの、有料で管理人がいるもの、有料で管理人やドッグトレーナーがいるものなど各種の形態が見られます。
また、ドッグランというとかなりの広さがあると考えがちですが、都市部では小型犬限定の狭小な施設などもあります。
ドッグランのドッグトレーナーの種類
上記でドッグランにはさまざまな形態があるということを紹介しました。
そのなかでドッグトレーナーがいるのは主として有料のドッグランであり、なかには犬が同伴できるカフェやレストラン、犬の美容室、ペットショップ、ペットホテルなどを併設しているところもあります。
また、ドッグランの広さも施設によってさまざまで、地方でかなり広いところや都市部でごく狭いところなども見られます。
ドッグランの多くは大型犬・小型犬というように犬が遊べるスペースが別れており、トラブルが起こらないように予防措置を取っています。
都市部などでは犬が自由に遊んだり走り回ったりするスペースが見つからないというケースが多く、ドッグランはそうした犬の運動不足やストレス解消にも役立っています。
いわば飼い主にとっては「とても助かる施設」ということができるのがドッグランといえるでしょう。
ドッグランのドッグトレーナーの仕事
いずれにせよ、ドッグランでのドッグトレーナーの仕事は犬や飼い主のトラブル防止やドッグランの管理、施設運営のための業務などが中心となっています。
前項でも紹介したように、ドッグランのなかにはドッグカフェやドッグサロンなどを併設しているところもありますので、そうした職場であればドッグトレーニングや施設の管理だけでなく併設された店舗などの業務を担当することもあるでしょう。
さらに、ドッグランの施設のなかにはドッグトレーナーによる犬のしつけ教室や犬の飼い方セミナーなどを開催しているところもあります。
もしそうした催しをしている職場であれば、ドッグトレーナーとしての知識やスキルを伝える機会が出てくるでしょう。
ドギーパークで働く!ドッグトレーナーの仕事
ドッグトレーナーの職場で人気があるのがドギーパークなどの施設です。
ここではドッグトレーナーの就業先として人気のドギーパークの仕事について詳しく紹介していきましょう。
ドギーパークとは?
ドギーパークとは犬と人間が触れ合ったり、いっしょに遊ぶことのできる施設をいいます。
一般的にはレジャーランドのような施設を指し、犬と触れ合えるだけでなくその他のさまざまな設備が設けられていることが多いようです。
その一例を挙げてみると、
・ドギーパークと遊園地、アスレチックなどが併設されている
・ドギーパークとキャンプ場やキッズパークが併設されている
・ドギーパーク、ドッグラン、ドッグショーなどが併設されている
などが見られます。
つまり、ドギーパークは犬と触れ合うことができるだけでなく、子供から大人まで楽しく過ごせるレジャー施設といえるでしょう。
ドギーパークの設備と種類
ドギーパークには犬との触れ合いができる施設だけでなく、それ以外にもさまざまな設備が併設されているレジャーランドのようなものが多く見られます。
次に、ドギーパークによく併設されている施設や設備について見ていきましょう。
ドッグショー
愛らしい小型犬や賢い大型犬などがさまざまな芸を見てくれます。
フリスビーのようなディスクを犬が空中でキャッチするディスクショーや、平均台や迷路などを見事に犬が駆け抜けていくアジリティショーなどもあります。
犬の愛らしさや賢さ、機敏な行動などを楽しめるショーです。
犬との触れ合い広場
可愛い犬と触れ合ったり遊ぶことのできる施設です。
仔犬、成犬、小型犬、中型犬、大型犬まで各タイプの犬がそろっているところもあります。
しっかりしつけのできている犬なら、安心して撫でたり遊んだりできるでしょう。
ドギーパークによっては、レンタル犬を借りて散歩ができるところもあります。
ドッグラン
我が家の愛犬といっしょにドギーパークを訪れて、広々とした施設内でドッグランを楽しむこともできます。
単なるドッグラン広場だけでなく、森林のなかでドッグランを楽しんだりできるところも見られます。
ドギーパークのドッグトレーナーの仕事
ドギーパークにはドッグショーや犬との触れ合い施設、ドッグランなどの設備があります。
当然のことながら、ドッグショーを行なうにはドッグトレーニングを行なうドッグトレーナーが必要です。
また、触れ合い広場にはしっかりしつけをした犬を出さなければならないため、そこでもドッグトレーナーが活躍しています。
犬を社会に適応させるための訓練:社会化トレーニング
ドッグトレーナーの仕事のひとつが「犬の社会化トレーニング」です。
社会化というのは、本来人間が社会生活を営むために集団の構成員としての意識を身に付けることを指します。
そこから、犬も家族の一員として社会生活を営むためのスキルや知識を身に付ける必要があるというのが「犬の社会化トレーニング」なのです。
では、ドッグトレーナーは「犬の社会化」のためにどんなトレーニングを行なうのでしょうか?
犬の社会化トレーニングとは
犬に社会化トレーニングを行なう場合は、できるだけ早い時期(仔犬の時期)に訓練を行なう必要があります。
まだ、犬としてのしつけができていない仔犬期から社会化トレーニングを施すことにより、家庭犬として人間社会で無理なく生活できる基礎を作ろうというのが犬の社会化トレーニングです。
犬の社会化トレーニングは家庭でも行なうことが可能ですが、飼い主にトレーニングの知識がなかったり、忙しくて充分なトレーニングが行なえないというケースではドッグトレーナーに任せるのが適しています。
プロのドッグトレーナーなら、犬の社会化トレーニングを効率良く行なうことができるだけでなく、遺漏なく必要な訓練を施すことができて効果的です。
もちろん、犬のトレーニングに関する知識やスキルも充分なドッグトレーナーなら、難しいタイプの犬でもスムーズに訓練することができるというメリットもあるわけです。
社会化トレーニングの目的とは
犬の社会化トレーニングの目的は、「人間のより良い共存ができる犬」と「社会の一員としての犬」を作るということです。
現在、一般的に人間の家庭に飼われている犬はペットに適した犬種が主です。
しかし、過去の犬の歴史を振り返ってみれば、犬の祖先は野生の動物であったり、狩猟犬として役立てられていた犬であったりします。
そのため、家庭のなかで愛玩犬として飼われていても、ちょっとしたキッカケで本能がよみがえってしまうこともあるのです。
これには犬自体に責任があるわけではなく、ペットでも動物であるという認識を持って犬を飼育するという飼い主の姿勢が重要となってきます。
ドッグトレーナーによる犬の社会化トレーニングは、社会に対する飼い主の責任のひとつということもできるでしょう。
社会化のためのトレーニング内容
犬の社会化トレーニングの内容は主としては次の2種類があげられます。
1.対人トレーニング
家族だけでなく一般社会の人々と接するためのトレーニングです。社会には赤ちゃんから高齢者まで幅広い人が生活しています。そのような多様な人々とスムーズかつ安全に接することができるようにするのが犬の対人トレーニングです。
2.対犬トレーニング
犬も家庭から一歩外に出ると、さまざまなタイプの犬と接触する可能性があります。犬種・性別・飼育環境の異なる犬とスムーズで安全に接することができるよう訓練するのが犬の対犬トレーニングです。
仔犬をしつけて社会に慣れさせる社会化トレーニング
ドッグトレーナーの重要な仕事のひとつが「犬の社会化トレーニング」です。
なかでも犬のしつけのポイントとなるのが仔犬の訓練で、仔犬の時期に社会化トレーニングを行なうのが効果的といわれています。
ここでは仔犬の社会化トレーニングの仕事内容について詳しく説明していきましょう。
仔犬の社会化トレーニング
犬の社会化トレーニングとは、飼い犬が人間社会に適応して生活を送れるように訓練することをいいます。
もちろん成犬になってからも社会化トレーニングは可能ですが、特に仔犬の時期に訓練を行なえばスムーズに社会生活を送れるようになり、犬にとっても飼い主にとっても効率的といえるでしょう。
一概には比較できないものの、人間の子供たちも家庭でのしつけに加えて幼稚園や保育所でさまざまなトレーニングを行なっています。
それは犬の場合も同様で仔犬の時期にしっかりしたトレーニングを行なうことにより、人間との適切な付き合い方や社会生活でのありかたを学ぶことができるというわけです。
仔犬の社会化の時期とは
犬も生まれたばかりの赤ちゃん時代から成犬になるまでにはさまざまな段階があります。
それぞれの時期に適した社会化トレーニングを施すことで、より犬の社会化はスムーズかつ最適なものに近付けることができるのです。
生後2~3カ月
仔犬の社会化トレーニングでは最も重要な期間です。この時期にきちんとしたしつけを行なうことが求められます。ドッグトレーニングを行なう事業所で仔犬のトレーニングを行なうのに適した時期といえるでしょう。
生後5~6カ月
社会化トレーニングも一段階上のレベルで行なうべき時期です。ただし、伝染病ワクチンの安定が図りにくい時期であるため、むやみに公園などを自由に歩かせるのは避けたほうがいいかもしれません。できればドッグトレーニングを行なう教室など、管理された場所でしつけを行なうのがベターな時期です。
生後1年
引き続き生後1年までは公園などで自由にさせるのではなく、家庭内で基本となるトレーニングを行ないます。自宅に家族以外の友人や知人を呼んで対人トレーニングを行なうのもいいでしょう。可能であれば家庭とドッグトレーニングを行なう教室で併行してしつけをするのがベターです。
生後1年以降
ワクチンが安定する時期に入れば、公園などで比較的自由に運動させることができます。ドッグトレーニング教室などでの基本訓練はこの時期までに済ませておくのがベターでしょう。
仔犬の社会化トレーニングを家庭内だけで行なうのには、知識やスキル、時間の余裕などの点でむずかしい側面があります。
ドッグトレーナーは家族からの信頼を受けて、プロとして適切なトレーニングを請け負うという責任があるといえるのです。
仔犬の社会化トレーニングの内容
仔犬の社会化トレーニングは犬と人間が共存し、お互いがより良い存在であるためにも不可欠な訓練のひとつです。
現代社会のルールは犬にとっても無視することはできず、そのルールを無視すれば犬にとって住みにくい環境が形成されてしまうでしょう。
その意味でも、仔犬の社会化トレーニングは犬と人間が親密な関係を築いていくための強力なツールになりうるものということができるのです
次に、ドッグトレーナーが行なう仔犬の社会化トレーニングの内容について詳しく紹介していきます。
仔犬の対人トレーニング
家庭に飼われている犬はペット(愛玩犬)だというイメージが強いことは確かです。
しかし、犬のルーツをたどってみると、野生の動物であったり狩猟犬や牧羊犬であったりなどの過去があるという事実を無視することはできません。
そこで、仔犬の時期にしっかりした対人トレーニングを施すことによって、人間社会で犬がより良い状況で行動する規範を作ってやることが重要となります。
仔犬の対人トレーニングでは、赤ちゃんや子供から高齢者までさまざまな人とのコミュニケーションのルールを訓練します。
特に無警戒に犬に触れようとする子供や、逆に犬に嫌悪感を抱く人、怖がってしまう人などと、どのように関わればいいのかは仔犬の時期に教えてやる必要があります。
仔犬の対犬トレーニング
同じ犬同士といっても、犬種・年齢・性別・飼育環境によって違いがあります。
また犬自身も個体差や性質の違いなどがあり、犬と犬とのコミュニケーションがすべて上手くいくというわけではないのです。
犬のなかには他の犬を怖がったり、逆に興奮して喧嘩腰になったりするタイプもいます。
そうした行動はトラブルの原因ともなりますので、仔犬の時期に適切なトレーニングを施して予防する必要があるのです。
ドッグトレーナーはトレーニングの過程で犬同士を上手く遊ばせるなどの訓練を施し、家庭犬同士のコミュニケーションの取り方や対応の仕方などを訓練します。
仔犬の対環境トレーニング
犬が飼育される環境は家庭によって千差万別です。
交通量や人口の多い都会で飼育されるのか、自然が豊かな地方で飼育されるのかといった違いによっても犬の生活環境は変わってきます。
仔犬のトレーニングでは、犬が生活する環境に合わせて対環境トレーにニングを行ないます。
散歩道で出会うバスやトラック、自動車、バイク、自転車、歩行者などにどう対応するのか、自家用車に乗せられたときにどう対応するのか、ガソリンスタンドや店舗などでどう行動すべきかなど日常生活に密着した環境トレーニングは欠かせないものといえるでしょう。
とあるドッグトレーナーの一日の仕事の流れ
「ドッグトレーナーは家庭犬の訓練をする仕事」ということは知っていても、実際に毎日どんな業務をしているかは案外知られていないようです。
ここではドッグトレーナーの一日の仕事の流れを紹介していきましょう。
次の例は一般的なドッグトレーニングの事業所に勤務しているドッグトレーナーのある一日のスケジュールです。
スケジュール(1):午前
午前8:00~8:30 ドッグトレーナー出勤
事業所に出所し、スタッフとの打合せや必要な事務処理などを行ないます。
本日のスケジュールを確認、トレーニングの準備や事前チェックなども併せて進めていきます。
トレーニングを行なう犬が到着してしまってから準備不足が分かっても早急には対応できないことが多いので、スタッフとの打合せやトレーニング準備は事前にしっかり行なっておく必要があります。
午前10:00 トレーニング犬が来所
ドッグトレーニングを受ける犬が飼い主とともにトレーニング所に訪れてきます。
ドッグトレーナーは飼い主とコンタクトを取るとともに、トレーニングの概要を説明したり飼い主からの報告を受けます。
犬の飼い主が事業所を後にしたのち、ドッグトレーニングがスタートします。
(※ケースによっては飼い主とともにトレーニングを行なったり、飼い主が見学するような場合もあります。)
午前10:00以降 ドッグトレーニングの開始
トレーニングを受ける犬の体調チェックや体重測定などを行ないます。
犬のトイレなどを済ませ、トレーニングがスタートします。
トレーニングの基礎となる犬の社会化トレーニング(人間社会のなかで犬が生活していくための訓練)などを行ないます。
スケジュール(2):午後
午前13:00 トレーニング
基本的な犬のしつけを中心とするドッグトレーニングの授業を行ないます。
トレーニング内容は犬のレベルによって異なりますが、基礎となるしつけ(例・「おすわり」、「ふせ」、「おいで」、「まて」など)の授業をします。
これは犬の現在の訓練レベルだけでなく、仔犬なのか成犬なのか、犬種は何か、飼い主宅の状況はどうかなどによっても違ってきます。
どのようなトレーニングを行なうかはドッグトレーナーの判断や飼い主の希望によっても異なってきますので、トレーナーの知識や経験、スキルなどが問われる部分といえるでしょう。
午前16:00 休憩・事務・掃除
犬の休憩をはさみながら、ドッグトレーナーの仕事に必要な事務仕事やトレーニング場の掃除などを行ないます。
スケジュール(3):夜
午前17:00頃 犬の飼い主が来所
犬の飼い主が愛犬を迎えに来たら、本日のトレーニングの報告や注意点などを説明します。
このとき、飼い主に対して自宅でできるレッスン方法などのレクチャーを行ないます。
ドッグトレーナーに使われる専門用語
ドッグトレーナーが犬の訓練やしつけでよく使用する用語集です。
あ行
アタッチメント
犬が寝た状態でドッグトレーナーが体を自由に触る訓練です。このとき逆らわずドッグトレーナーに自由に触れさせるようにする服従トレーニングの一種となります。(=ボディコントロール)
か行
緩歩(かんぽ)
犬と人間が並んで立ち、ゆっくりした速度で行進することをいいます。
脚側行進(きゃくそく-こうしん)
トレーナーが犬の右側に位置を置いてあるくトレーニングです。脚側というのはトレーナーの左足サイドに犬が位置するという意味、行進とは文字通り前に進むという意味となります。これはドッグトレーニングの初歩ともいうべき訓練で、犬と人間がともにスムーズに歩くための基本といえるでしょう。
休止(きゅうし)
犬が「停座(お座り)」や「伏臥(伏せ)」をしている状態をいいます。
さ行
視符(しふ)
ドッグトレーナーが手や体の動作で犬に命令するトレーニングです。
招呼(しょうこ)
ドッグトレーナーが休止中の犬を呼び寄せることをいいます。
常歩(じょうほ)
犬と人間が並んで立ち、通常の速度で行進することをいいます。
声符(せいふ)
ドッグトレーナーがトレーニングに使用する言葉を指します。
速歩(そくほ)
犬と人間が並んで立ち、軽い駆け足する程度の速度で行進することをいいます。
た行
停座(ていざ)
いわゆる「お座り」のことで、ドッグトレーナーは犬に対して「座れ」と声を掛けながら右ヒジを肩の上まで上げます。
は行
ハンドリング
ドッグショーなどでトレーナーが自由に犬を引いて操作することをいいます。
ボディコントロール
犬が寝た状態でドッグトレーナーが体を自由に触る訓練です。このとき逆らわずドッグトレーナーに自由に触れさせるようにする服従トレーニングの一種となります。(=アタッチメント)
ま行
マウンティング
犬が対犬・対人を問わず、性行為を示すような行動を取ることをいいます。これは自分の優位性を示すためである場合と性的な本能による場合などによるものです。
マズル・コントロール
犬の口に触れながら人間の優位性を示し、かつ信頼関係を結ぶという訓練です。マズるとは犬の口吻(ストップから鼻先までの部分)をいいます。
モチベーター
ドッグトレーニングで犬のモチベーションをアップするためのアイテムを指します。アイテムの種類はドッグフードから犬のオモチャまでさまざまです。
ら行
リーダーウォーク
ドッグトレーナーが犬を主導しながら歩くことをいいます。
立止(りっし)
犬が立ったまま待っている状態をいいます。